『やる気が上がる8つのスイッチ』は、僕の好きな本の一つです。
著者のハイディ・グラント・ハルバーソン氏は、社会心理学者で、コロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長。
コロンビア大学で博士号を取得した、モチベーションと目標達成の分野の第一人者です。
この本の副タイトルには「コロンビア大学のモチベーションの科学」とあり、大学でのしっかりとした研究実績に基づいた内容であることが読み取れます。
実際に読み進んでいくと、いくつも説得力のある話が出来てきます。
特に、共感できたのは、人の心に火をつけるのにたった1つの答えはない、ということです。
分かりやすい例として、医者のエピソードがありました。
病院に行って、一目見ただけで、先生が「このお薬を飲んでください。お大事に」といって診察を終わろうとしたら、あなたはどう思いますか?というものです。
どのような時でも、誰にでも効く処方箋などないのですから、こうした決めつけは、患者を大いに不安にさせます。
実際は、このような診察をする医者はいないはずです。
しかし、自分自身に仕事に当てはめてみると、人から相談や報告を受けたときに、こういった態度を、自分が取っていないか心配になりました。
この本の良いところは、こういった分かりやすいエピソードが多数盛り込まれていることです。
エピソードがあると、記憶に残るため人に話したくなります。
人に話すことで、本で読んだ内容も、記憶に定着するのです。
本の良さは、内容もさることながら、人に伝えることのできる、興味深い実話や例えが盛り込まれているかにかかっています。
その意味で、この本は貴重です。